癒しの場において

 日常のハードな仕事に加えて家庭も支えなければならない看護師が少なくないでしょう。特に、子供がいる方にとっては家事全般のみならず、子供の成長に大きな影響を与える親子という関係を通して時間を取ることも必要となってくるのです。我が子に欲しい物を買ってあげることが愛情表現の柱なのだとおっしゃる方がいるかもしれませんが、同時に心の教育としての子供との関わり合いも大切なことになるのです。子供との時間を持つことが、子供にとってどれだけありがたいことなのかを親が理解していくことが必要となり、忙しい日常において、一日に子供と関われる時間が僅かであっても、その子と言葉を交わしていくことで、その子が「ちゃんと自分のことをしっかりと見ててくれているんだ」という気持ちを抱いていき、家庭や自分のために毎日の仕事を頑張っている親を尊敬するようになるのです。たとえ、親と関われる時間が少なくても、見えない絆があることを肌身に感じるようになり、親とのつながりは一緒に居る時間の長さだけで推し量れるものではないということを理解するようになるのです。
 家庭を両立させている看護師というのは、一人の社会人として尊敬に値するくらいに素晴らしい存在だと崇めている方がおられるでしょう。自分の時間を犠牲にしてまで仕事でも家庭でも一生懸命になれる看護師を見て、「患者にも愛情を持って接していくことができるんだから、旦那さん(あるいは奥さん)や自分の子供にもたくさんの愛情を振りまいているんだろうなあ」という恍惚とした気持ちに浸る方もおられるでしょう。そうしたことを想像していくうちに、「自分もあの人のように幸せな家庭を築いて誰もが羨む華やかな人生となるように頑張っていこう」という目標を掲げていくことがうかがえてくるのです。このようにして、人の幸せを感じられたときに、自分もまた目標とする幸せの実現をしていこうとする姿勢が湧きあがることは往々にしてあることだと思うのです。
 看護師として働く方は、常に緊迫した環境で仕事をしているため、家に帰ったあとに待っている家事に追われてしまって身が持つのかなと心配をされる方がいることでしょう。しかし、常に動いていないと気持ちが落ち着かないという行動派にとっては願ってもない日常だと言えるのでしょう。その日常が心を潤すオアシスとしての役割を担っているのですから。そのオアシスに羨望のまなざしを向けられることを快感として捉える方がいることも事実なのかもしれません。